肩関節の構造
・特徴上腕骨と肩甲骨からなる球関節であり、関節窩は上腕骨骨頭の3分の1の大きさしかなく大きな可動域を持ち安定性が低い。
関節窩は骨頭が安定するために関節窩の周りで厚くなった硝子軟骨につく白色線維軟骨性の関節唇により拡大されている。
肩関節の靭帯
肩関節の靭帯は肩甲骨の烏口突起と上腕骨、鎖骨、肩峰をつなぐ靭帯と関節窩前縁と上腕骨につく靭帯がある。
烏口突起は靭帯や筋肉の付着部であるため付着部炎を起こし痛みを感じやすい。
烏口肩峰靭帯
烏口肩峰弓(C−Aアーチ)を構成し狭い関節を補う。(第2肩関節)烏口鎖骨靭帯
烏口鎖骨靭帯は外側から菱形靭帯、円錐靭帯がありこれらが断裂すると肩鎖関節脱臼となる。烏口上腕靭帯
関節包上部を補強する靭帯で、関節包の中に入り大結節と小結節に達する。関節上腕靭帯
上・中・下の3部に分かれ関節前面を補強する弱い靭帯。(Z字状)
肩の運動
肩関節の運動を表すためには、肩甲骨と鎖骨の運動についても考えなければならない。
上腕骨は肩甲骨の関節窩にはまる部分を軸に、肩甲骨は胸骨と鎖骨のなす胸鎖関節を軸に運動し、肩甲骨の運動がなければ肩の可動域は大幅に減少することになる。
その他、肩関節の挙上時には上腕骨の大結節部と肩甲骨の肩峰の衝突を避けるために上腕骨がある程度外旋している必要がある
肩の運動を表す言葉と可動域
可動域については個体差があるため一定しない
肩甲骨の運動に関する筋肉の詳細は別に記載
作用する筋肉については肢位により変化するものを含めたため必ずしも可動域(角度)と一致しない(挙上時の大胸筋など)
- 屈曲90°
上腕二頭筋,烏口腕筋,大胸筋,三角筋 - 伸展60°
広背筋,大円筋,小円筋,棘下筋,上腕三頭筋,三角筋,大胸筋 - 内転75°
大胸筋,烏口腕筋,上腕二頭筋,広背筋,大円筋,肩甲下筋,上腕三頭筋 - 外転90°
三角筋,棘上筋,上腕二頭筋,大胸筋, - 内旋90°
肩甲下筋,大胸筋,広背筋,大円筋,三角筋, - 外旋70°
棘下筋,小円筋,三角筋 - 水平伸展40°
広背筋,三角筋,小円筋,棘下筋 - 水平屈曲140°
大胸筋,上腕二頭筋,烏口腕筋 - 挙上180°
(外転や屈曲を90°以上行う動作を挙上という場合があり、それぞれ外転挙上、屈曲挙上といわれる。)
複合運動として分回し運動がある
肩甲骨の運動を表す言葉と作用する筋肉
- 挙上
僧帽筋,肩甲挙筋 - 下制
僧帽筋,小胸筋 - 内転
菱形筋,僧帽筋 - 外転
前鋸筋 - 上方回旋
僧帽筋 - 下方回旋
菱形筋
肩の運動に対応する肩甲骨の運動
- 肩の運動
肩甲骨の運動 - 屈曲
上方回旋,挙上 - 伸展
下方回旋,下制 - 内転
下方回旋 - 外転
上方回旋 - 水平伸展
内転 - 水平屈曲
外転