上肢帯

上肢帯
上肢帯は鎖骨と肩甲骨から成る。下肢帯と比べ,上肢帯は体幹と四肢(自由上肢)の結びつきが弱く不安定であるが,運動の自由度が大きい。 哺乳類では霊長類で鎖骨がよく発達しているが,イヌでは鎖骨を欠く。

1. 鎖骨
・形状
S字状に弯曲し,外側1/4は上下に扁平で,内側3/4は三角形の断面のかたちである。
・鎖骨の役割り
体幹と上肢をつなぐ唯一の関節,鎖骨により肩幅は大きく影響を受け,鎖骨があるために肩を張り出すことができる。

・鎖骨の骨化様式
骨化の様式には軟骨性骨化と膜性骨化がある。大部分の骨は軟骨性骨化をする。膜性骨化の代表は頭蓋冠の扁平骨だが,この鎖骨もヤツメウナギのような無顎甲皮類の頭蓋冠に連結していた小さな骨に由来しているため,大部分が膜性骨化をする(中央部が膜性,両端が軟骨性骨化。)
・骨化の時期
鎖骨は最も早く骨化し始め,そして最も遅く癒合が完成する。骨端線の癒合は成人までみられないため,X線像で骨折線と間違えやすい。
胎生5週で結合組織の膜に2つの骨化点が現れる。すぐにこの2つの骨化点は癒合する。二次骨化点が胸骨端に出現する。この二次骨化点は18から25歳で癒合しはじめ,25〜31歳で癒合が完成する。時として肩峰端にも小さな二次骨化点が出現することがある。
・胸骨端---- 胸鎖関節
・肩峰端----肩鎖関節
・円錐靭帯結節;上・下面の判定の指標となる。

2.肩甲骨
・形状
外側1/4は上下に扁平で,内側3/4は三角形の断面のかたちである。
・胸郭との位置関係 肩甲骨の位置
上肢を下垂させた状態では,肩甲骨の内側縁は脊柱と平行になっている。
上縁は第2肋骨,下角は第7〜8肋骨に達している。
・生体で烏口突起を触れる
大鎖骨上窩(胸鎖乳突筋の後縁,肩甲舌骨筋の下縁,鎖骨でつくる三角形)の外側部を強く探ると触れることができる。
・自由上肢の運動と肩甲骨の運動の関係は?(どこまで上肢を外転したら肩甲骨は動くか)
30度外転までは上腕骨のみの運動で可能、それ以降は上腕骨と肩甲骨は2:1の割合で動く(肩甲上腕リズム)
・生体での翼状肩甲骨winged(alar)scapulaの状態
生体で(天使の翼)翼状になった肩甲骨をいう。これは胸郭の外側(第1〜9肋骨)と肩甲骨内側縁の間に張る前鋸筋を支配する長胸神経の麻痺によって起こる。前鋸筋は肩甲骨を胸郭にそって前方に滑らせる作用をもつ為肩の屈曲挙上に障害が起こる。翼状肩甲は,菱形筋の麻痺によっても起きるが,この場合は屈曲挙上は行える。

肩甲骨の名称の確認
・肋骨面,背側面,内側縁,外側縁,外側角,上角,下角
・関節窩
肩関節の関節窩は上腕骨骨頭の1/3と,非常に浅く,関節唇,靭帯,筋による補強がある。ことに筋(rotator cuff)は運動時には著しい働きを示す。
関節上結節,関節下結節に何が着筋肉は?
それぞれ上腕2頭筋短頭、上腕3頭筋長頭の起始
・肩甲上切痕
肩甲上神経,肩甲上動・静脈が通る,
・肩甲棘
棘上窩,棘下窩
・肩峰
左右の肩峰を直線で結んだものが肩峰幅(肩幅)。
肩峰と第7頚椎の棘突起胸骨上縁鎖骨上縁を結んだ線が頚部と胸部の境となる。

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