このページの内容は主に骨学実習アトラス を参考にしています。

頸椎〜尾椎

頸椎  ナマケモノやマナティーなどのカイギュウ類に例外はあるが、哺乳類は7個の頸椎をもつ。 ・頸椎の特徴  頚椎では横突起の先端が二分しており、前部を前結節,後部を後結節という。  両結節の間には横突孔がある。 ・項靭帯  頸椎部では棘上靭帯にあたるものを項靭帯と呼び、四足獣、特に頭部の重い動物ではよく発達している。 ・頸椎の横突起  胸椎+肋骨が脊椎の基本的な形であり、胸椎の横突起の長さで肋骨を切り落した状態を頸椎と比べて考えてみると。  肋骨は頚椎での前結節に、胸椎の横突起は頚椎の後結節、そして胸椎横突起と肋骨が囲む穴は頚椎の横突孔に相当することが分かる。  横突孔  椎骨動・静脈が通るが、椎骨動脈は第7頚椎の横突孔を通らずに第6頚椎横突孔から入る。  椎骨動脈は環椎の横突孔を抜けて大後頭孔に入り、左右が合流して脳底動脈となる。  頚椎の伸展、同側側屈、両側の回旋によって椎骨動脈は圧迫をうける。 環椎と軸椎 ・胸椎との相違  環椎には椎体に相当する部分が無く、軸椎の上にある歯突起が、環椎の椎体であり、発生の途中で軸椎の椎体と癒合したものである。  火葬後に”ほとけさま”として故人の胡坐をかいている姿にたとえられるものがこの軸椎である。 ・環椎十字靭帯  環椎横靭帯+縦束 ・環椎の関節  環椎には後頭骨の後頭顆と関節するための上関節窩と軸椎の上関節突起と関節するための下関節窩がある。  上関節窩は瓢箪形をしている。  環軸関節には正中環軸関節、外側環軸関節がある。 ・頸椎の運動 側屈   環軸関節での動きはない。環椎後頭関節で3゜、軸椎と第3頚椎の椎間関節で5゜の合計8゜である。  これに下位頚椎の椎間関節での運動を合わせて45゜の側屈運動ができる。 屈曲・伸展  環椎後頭関節で15゜づつの屈曲・伸展ができる。  これに環軸関節(外側・正中環軸関節)での運動が加わり、上位頚椎で20〜30゜の屈曲・伸展運動ができる。  さらに,下位頚椎での運動がくわわり,屈曲・伸展運動の合計は130゜(歯列の咬合面を規準として)となる。 回旋  環椎後頭関節で12゜、環軸関節(外側・正中環軸関節)で12゜  下位頚椎の椎間関節での運動と合わせて、合計80〜90゜の一側への回旋運動ができる。 ・第六頸椎に頸動脈結節がある ・(C7) の棘突起は頸椎の下部で特によく触れることができ、隆椎と呼ばれる。 ・頸肋  魚類のように、脊椎動物の基本型では、肋骨は首から腰の脊柱にわたって存在しており、この頚部や腰部の肋骨の名残が出現することがある。  頚椎の前結節は肋骨の名残であるから、この前結節が長い状態で存在するものを頚肋といい、通常は第7頚椎に出現する。  第1肋骨(肋軟骨)と癒合する場合は、腕神経叢を圧迫して神経障害を起こすことがある。


胸椎 椎骨の基本となる形であり12個ある ・胸椎の特徴  ・肋骨窩  第1(2)〜第9(10)胸椎は椎体の側面の後方に上下に一つずつ(片側で計2個)の半円形の肋骨窩を持つ(第1胸椎の上肋骨窩は円形)。  第10〜第12胸椎には円形の肋骨窩を一つ持つ(第10胸椎の上肋骨窩は半円形)。 ・肋椎関節の種類  肋骨頭関節と肋横突関節の2種類がある。  問題 上の事を踏まえて第9胸椎にはいくつの関節面があるか考えてみよう。
腰椎 ・腰椎の特徴  椎体から側方に本来の肋骨である肋骨突起が張り出している。 ・副突起と乳頭突起  肋骨突起の根元の後面には下方に向かう副突起、上関節突起の外側には後方に向かう乳頭突起があり、これらが本来の横突起とされている。 ・腰肋  肋骨突起が腰椎と分離していることが、第1腰椎、まれに第2腰椎にみられ、これを腰肋という。
仙骨 ・特徴  仙骨は5個の仙椎が癒合してできたものである。  腰椎の仙骨化、仙椎の腰椎化がある。 ・仙骨稜  仙骨後面には正中・中間・外側仙骨稜の3種類5列の縦走する稜線がある。  ・正中仙骨稜   5つの仙椎の棘突起と棘間靭帯が骨性癒合したものである。  ・中間仙骨稜(正中仙骨稜の外側)   関節突起が癒合したものである。  ・外側仙骨稜(中間仙骨稜の外側)   横突起の癒合によって生じたものである。 ・横線  仙骨の前面には4本の横に走る稜線があり、これは椎体が合した部分にあたる。 ・男女差  女性の仙骨は短く幅広で、彎曲が少ないため、岬角の突出は少ない
尾骨 ・尾椎の数  ヒトでは3〜6個の尾椎がある。この数の変異のためヒトの骨の数は約200個というように概数でしか表せない。

頸椎〜尾椎